たんぽぽのうた | 拾書所

たんぽぽのうた

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悲しい、悲しい、過去を持つ少年に訪れた‥‥「たんぽぽのうた」
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こうたが5歳になった秋のことでした。
お母さんは、お産さんのために入院をしました。
お母さんからあるひ 「妹の名前をこうたがつけてくれる?」と
おねがいをされたので「ヒメちゃん」と名づけました。

お母さんとヒメちゃんが帰ったとき、風邪を引かないように、
こうたは自分のもうふをかしてあげようと、楽しみにまっていました。
秋がふかまり、少しはだざむくかんじだしたころ、
こうたのまち遠しい思いはかなわず、二人はそのまま帰ってきませんでした。

お父さんは週末には帰ってきますが平日はいませんでした。
おじいちゃん、おばあちゃんは、とてもやさしかったけど、
こうたは二人が大きらいでした。
学校も、お友だちも、大きらいでした―――――――――――。

ひとりで歩く、学校の帰り道、
道端にたんぽぽを見つけます。

「なんだ こんな花 びんぼうくさい どこにでもさくざっそうだ!
いらない 花だ! こーしてやる!」
なげすてた たんぽぽを ふみつけていると
遠くのほうから うたが 聞こえてきました。

たんたん たんぽぽ たんぽっぽ♬
野にさく たんぽぽ たんぽっぽ♪
それはタンポポのうたう歌。

たんぽぽはいつも朗らかに揺れながら
身をもってこうたにすごく重要なことを気づかせてくれるのです。

それは、タンポポが教えてくれた「人生で一番大切なこと」でした。


 

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