歌舞伎町の野良猫「たにゃ」と僕 | 拾書所

歌舞伎町の野良猫「たにゃ」と僕

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歌舞伎町で商いをしていた著者は、2020年以降コロナウイルスの蔓延により、経営が立ちゆかなくなっていた。金策に駆けずり回るも、先が見通せない。信じていた人からの裏切りもあった。人生ではじめて土下座もした。クタクタに疲れていた。

「もう死んじゃおうかな…」と思いながら、いつものように歌舞伎町の一角にある駐車場ま

で歩いて行くと、薄汚れた白い猫に出会う。

「お前もひとりなのか…?」。

ひとりぼっちでボロボロで、泥水をすすって生きている。

そんな猫が自分と重なって…放っておけなくてご飯を買いに走った。

猫には食べづらい缶詰。

それでも夢中で食べる姿を見て「お前だって楽しくないだろう。昨日も、今日も、明日もつまんないのに、でも食べるんだな…」。

生きるってそういうことなのかもしれない。

「明日もここで会おうな」。この日から、猫に会うことが彼の生きる理由になった。

猫は自分の名前の一部をとって「たにゃ」と名づけた。

たにゃのことを考えている時間は穏やかで、日々の辛さを忘れさせてくれた。

そして1年が過ぎ、たにゃと彼の過ごしている駐車場が取り壊されるという知らせが!そして、1匹と1人のおじさんに奇跡が起きる――。

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