台湾から東アジアへ、東アジアから世界へと広がるグロ-バル化の波長を見据えながら、日本研究の現在的課題と未来的展望を多元的な知の領域から真摯に討論したところに、本書の特色と魅力がある。 国際日本学研究とは何か、果たしてそれは学問研究として自立しうるのか、と疑問を懐く人もいるであろう。元日本文化庁長官の青木保教授の基調講演「異文化の視点―国際日本研究の可能性」をはじめとする諸論考を閲読すれば、その疑問は瞬く間に払拭されるに違いない。 日本学研究の歴史的意義と実践的課題を踏まえながら、「比較」と「対話」を基調とした独創的な多くの提言が盛り込まれた本書は、21世紀の台湾における日本研究が「国際日本学研究」への構築にとって、ゆるぎのない礎石であることを明証している。