上州桐生の商家に生まれた角次郎は、馬庭念流の遣い手であった。剣術が取り持つ縁で坂本龍馬の知遇を得る。龍馬と無名の主人公とのつながりを糸口に、豊富な郷土史、幕末の史料を丹念にたどりながら、物語は展開してゆく。坂本龍馬や岩倉具視、孝明天皇などの歴史上の人物はもとより、一般民衆にも光を当て、幕末各藩の複雑な動きを大きく俯瞰し活写する歴史小説。