本書は『牛腸茂雄全集」全2巻のうち「作品編」に当たる(「資料編」は2023年11月刊行予定)。
近年、国内外で日本写真史、特に1960年代以降の写真史再考の機運が高まっており、中でも重要な作家の一人と位置づけられる牛腸茂雄の全体像を俯瞰できる書籍が現在入手しにくいことから、今回の全集刊行は企画された。
「作品編」には、生前に刊行された4冊の作品集『日々』『SELF AND OTHERS』『扉をあけると』『見慣れた街の中で』所収の全点と、生前に発表、もしくはまとめられた 2 つの連作〈水の記憶〉〈幼年の「時間 」〉全点を収録。制作された年代に沿って収載した。写真と写真以外の作品とが、外と内の一対のように現れる。刊行時の書籍に掲載されていたテキストも、その多くを再録した。 また、牛腸が遺したヴィンテージプリントやフィルム原板を印刷の指標とし、その制作意図を現代の技術によって能うかぎり再現した。
シリーズによって用紙を切り替え、作品と余白の関係を意識する。
巻末に、論考「『きわ』を生きる― 牛腸茂雄の作品と時代 」、年譜、作品リストを収載。
関連情報:NHK Eテレ 日曜美術館「友よ 写真よ 写真家 牛腸茂雄との日々」 2022年10月30日(日)放送
「写真展 はじめての、牛腸茂雄。」 ほぼ日曜日(渋谷PARCO 8F) 2022年10月7日(金)〜2022年11月13日(日)