內容簡介
巻頭特集「リトグラフ150年 商業印刷から版画へ」リトグラフとは、ギリシャ語のリト(石)に描かれたグラフ(図)という意味で、石灰石の版に油性分のあるクレヨンなどで描いた図を、水と油の反発作用を利用して印刷する版画技法です。18世紀末にドイツのアロイス・ゼネフェルダーによって偶然に発明されました。
紙に描くのと同じように描くことができ、描写したそのままを印刷できること、それまで使われていた木版画や銅版画よりも、短時間に大量の印刷が可能なことから19世紀の西洋において、主要な印刷技術となりました。
リトグラフによってカラフルな印刷が可能になると、街角には華やかな色彩のポスターが大量に現れました。たとえば、日本で何度も展覧会が開かれているアルフォンス・ミュシャや、トゥールーズ・ロートレックのポスターもリトグラフによって作られています。
リトグラフは日本にも明治はじめ頃に伝来し、ラベルや証券の印刷、書物の挿絵、そしてもちろんポスターにも使われるようになります。第1章では、西洋と日本それぞれで制作された、リトグラフによる「商業印刷物」を、印刷博物館所蔵の作品群の中から紹介しています。
一方で、日本ではかなり早い時期からリトグラフで絵(版画)を描こうとする試みが始まっています。創作版画の時代を経て、1950年代には瑛九や泉茂、吉原英雄、そして池田満寿夫などの画家たちが次々とリトグラフによる作品制作を始めました。1970年以後は全国の美術大学でリトグラフが版画技法として教えられるようになり、ますますリトグラフは盛んになりました。
第2章では、リトグラフの「いま」を紹介します。現在活躍している40歳以下の若手作家10名(大坂秩加、見崎彰広、石川真衣、市野 悠、芦川瑞季、呉 窮、太田絵理、霧生まどか、鈴木 彩、根本篤志)を取り上げ、制作にかける思いや、作品のコンセプトをインタビューによって掘り下げています。
本特集ではリトグラフの誕生から現在に至るまで、およそ150年の歴史をわかりやすく総覧しています。ゼロからリトグラフについて知るにはうってつけの決定版特集です。